米ジョージア大学の研究チームが
福島に生息する野生動物の実態調査を公開

米ジョージア大学の研究チームはこのほど、福島に生息する野生動物の実態調査を公開した。同チームによると、原発事故からおよそ10年が経った福島では、人間が住んでいない地域において野生動物の個体数が多いことがわかった。

今回の調査では、さまざまな地域に設置したカメラを使って、267,000枚を超える野生動物の写真を撮影。イノシシ、ニホンノウサギ、ニホンザル、キジ、キツネ、タヌキなど、20種以上の動物をカメラにおさめることができた。

チェルノブイリや福島でのような原発事故から数年後の野生動物の状況についてはこれまでよくわかっていなかったようで、今回の結果によって、放射能汚染の被害があっても、現在では福島の避難区域全域において多くの野生動物がいるという初めての証拠が示された。

撮影が実施されたのは、高中低の3つの汚染レベルのエリア。地形は山地から沿岸部まで多様で、さまざまな種類の動物が棲んでいるが、そこでは放射線レベルよりもむしろ、人間の活動状況や標高、生息地タイプが種の豊かさに影響を与える主な要因であったという。

また、今回の調査は動物の健康状態を評価するものではなかったが、野生動物の個体群への放射線の影響を調べるには重要な役割を果たすとしている。End