キューバ・シエンフエーゴスに登場した「Tres Esencias」
失われた地域の伝統的な建築を再現するインスタレーション

キューバ・シエンフエーゴスの建築スタジオ Albor Arquitectosが手がけた「Tres Esencias」は、ハバナ・ビエンナーレにおける「Mar Adentro」というプログラムの一環となる、公共スペースでのインスタレーションだ。

公式プログラムとしてははじめて首都を離れ、200周年を迎えるシエンフエーゴスで開催。街の歴史ある中心部は行政や商業、文化、そして観光の中心でもあるが、歴史的に重要で人々のノスタルジーをかきたてる海との関係は、それほど重視されてこなかったそうだ。

やがて港は取り壊され、経済危機などの影響もあって、地域の伝統的な建築の大部分は失われてしまった。さらに、それ以後に作られた建物からは大きな中庭が消え、空間は分割され、住民の快適な環境や良質の空間もなくなってしまったという。

そこで、Tres Esenciasでは、忘れられた地域の伝統的な建築要素を用いて人の出会いを再構築することを目指した。港に建てられた3つの構造物は、この中庭をイメージした空間体験ができるもので、壁のすき間からは光が差し込み、階上に登れば海に囲まれたこのユニークな都市空間との関係性が楽しめるそうだ。

この場所で、目立つように真っ白に塗られたこの3つの柱状の建物は、訪れる人すべてに開放されており、私たちの日常生活での新しい体験となる。End