Foster + Partnersが設計を手がけた「Dolunay villa」
エーゲ海に面したトルコのプライベートヴィラ

エーゲ海に面したトルコ南西部のムーラ県では、Foster + Partnersが設計を手がけた「Dolunay villa」が竣工した。壮大な海の景色を第一に、起伏の多い自然環境に丁寧に建てられたプライベートヴィラである。

敷地の自然な輪郭を使用した、平屋建てのようにも見える低層の建築で、周囲には美しい地中海の庭園が広がり、タイムやラベンダーなどの香り豊かな花、季節ごとの植物、オリーブの成木などがさまざまな感覚に訴えかけてくるという。

正面玄関からヴィラの中央部に入ると、東側には地形に合わせたプライベートな住居エリアがあり、西側には素晴らしい夕日が楽しめる共有のリビング・ダイニングエリアがあるそうだ。

「不透明から開放」へといたるヴィラ全体の流れは、後退したファサードにガラスドアを施すことでリビングの内側と外側の境界をぼかし、インテリアとエクステリアのあいだに遮るもののない流れるような空間ができあがった。

手作業で仕上げた波打つ屋根は、スイスのBlumer Lehmannと共同で設計。頑丈な構造をもたらすオーク材の梁を支えるのはスチール製の柱で、7.5mの大きなカンチレバーにより、広々とした屋外の日陰や日差しを遮った涼しい中庭を提供している。

中央の階段は硬いポルトガルの石灰岩を採用。石にポストテンション方式のケーブルを通して支えることで、見えがかりとなる支柱をなくしている。透明感のある軽い印象の手すり子はガラス管でできており、その上に現場で曲げて成形した木製の手すりを設置。

手彫りの無垢材のドアから特注のセラミックタイルやバスルームの洗面台まで、デザインにはクライアントの求めに応じて高度な職人技が見られる。海岸付近の小さなパビリオンには天然石の壁、オリーブの木立、ウッドテーブル、竹の軒天井を施した。

インテリアの素材には、ヴィラの周囲の環境にインスピレーションを得た石や木材、ブロンズを使用。岩の多い露頭や砂浜にある暖かいブラウンやとグレーを色調とし、オーク材の建具と革の家具が海岸沿いの隠れ家にリラックスしたエレガントな雰囲気を与えている。End