ロンドン郊外のがん患者支援センター「Maggie’s」は
赤いグラデーションの扇状建物

イギリスのがん患者支援センター「Maggie’s」(マギーズ)の新しい施設がロンドン郊外にあるザ・ロイヤル・マーズデン病院(The Royal Marsden Hospital)が完成した。

マギーズは、がん患者とその家族や友人に対してこころや身体、そして社会的なサポートを無償で提供する慈善団体である。ロンドンのデザインオフィス Ab Rogers Designが手がけた今回のプロジェクトは、病院の優れたケアをさらに手厚くするためのもので、静かな庭園にある穏やかなオアシスを目指した。

困難な状況にある人々の休息の場として、つながりやサポートを求めて訪ねた人たちを支援する居心地の良い共有エリアと、静かに考えをめぐらせるための快適なプライベート空間を提供。

センターは中庭を囲むように5つのボリュームで構成されており、エントランスから奥へ進むほど大きくなってゆく。外装はテラコッタとガラス張りで、深い色合いのカーマインから明るいコーラルレッドまで、赤いグラデーションを採用した。

中央にはダブルハイトのキッチンがあり、人々が集まりやすいようにロングテーブルを配置。インテリアにはベイマツやバーチ材、ハリスツイードといった手触り感のある素材を使用した。備え付け家具にはアート作品やオブジェ、本を置いて、リラックスした家庭的な雰囲気を演出。上階のバルコニーは景色を最大限に取り込んで、コミュニティの感覚を生み出している。

決められたことはなにもなく、気ままに歩いたり、空想したり、探検したりと、そんな時間の使い方ができるように空間は仕上げられている。

建物を扇状の形状にすることで、太陽の動きに合わせて一日中センターでくつろぐことができ、光と影の戯れが屋内を活気づけてくれる。また、外を眺めると、周囲に作った緑地との強いつながりを感じることができる。End