ロールス・ロイス、ビスポークパーツを組み立てる無菌室
ギャラリーと呼ばれる「クリーンルーム」を公開

ロールス・ロイスは、英ウェスト・サセックス州グッドウッドの生産施設内にあるクリーンルームを公開した。マイクロチップや医薬品・医療機器の製造施設にあるような高度なクリーンルームで、繊細で良質のビスポークパーツを組み立てるために必要な無菌室だそうだ。

ロールス・ロイス・ファントムVIII」のダッシュボードは、その全体が「ギャラリー」と呼ばれるガラス製の特別な仕様になっており、ユーザーはここにビスポークのアート作品を飾ることができる。

ファントム自体の耐用年数は驚くほど長く、ロールス・ロイスの116年の歴史のなかで生産された自動車のうち、その3分の2以上はまだ現役だという。それゆえ自動車が動く限りは、ギャラリーもまた貴重なプライベートアイテムとして、時間の流れに耐えることができなければならない。

そこで、同社の専門チームが製薬会社やマイクロプロセッサ製造会社のクリーンルームを訪問。微粒子の浮遊を抑えた、医療レベルの無菌室を作るためのノウハウを獲得し、ギャラリー専用のクリーンルームが完成した。

そこには医療レベルの4つの陽圧スペースを設置。高度なセンサーにより0.001ミクロンの微粒子が検出できるなど、各スペースの粒子濃度は継続的に測定し、天井には何層ものフィルターシステムが搭載されており、循環する空気から不要な粒子を継続的に除去している。

最深部ともいえる4番目の陽圧スペースは、ミクロな組み立てを実施。ギャラリー1点に対し、専門スタッフ1名のみが入室可能だ。毎週8時間にもおよぶ清掃が行われ、使用する部品も徹底的に洗浄される。大きさに関わらずどんな金属要素でも、52分間・70℃の超音波洗浄機で消毒、最終的な組み立ての前には紫外線による検査が行われ、ようやくアート作品がギャラリーに飾られることになる。End