かつて悪名高いイギリスの公営団地を再開発
S字型の集合住宅「Hulme Living Leaf Street Housing」に改造

イギリス・マンチェスターにある「Hulme Living Leaf Street Housing」は、オランダの建築設計事務所 Mecanooが設計を手がけた住宅プロジェクトである。85戸のアパートメントと20戸の戸建て住宅、公共スペース、56の駐車スペースからなるプログラムであるそうだ。

マンチェスター市中心部から少し外れたヒューム地区のリーフ・ストリートに位置しており、都市再生を長く行ってきたという。かつてあった典型的なビクトリア朝のテラスハウスは、第二次世界大戦後に壊され、当時イギリスで最大の公営団地プロジェクトで悪名高い「Hulme Crescents(ヒューム・クレセント)」が建てられたのである。

1990年代には「クレセント」は解体され、地区の大部分で再開発を開始。なかでもこのプロジェクトは、第4次の都市再生型住宅開発として、アパートメントと戸建て住宅を1つの大規模建築に組み合わせている。

南東側には幹線道路やマンチェスターメトロポリタン大学があり、こうした近隣の規模に合わせてアパートメントは5階建てとし、プロット内で蛇行させることで、北側に向かって徐々に小さくなるように設計。

この北側の建物は3階建ての戸建て住宅で、周囲の1930年代の住宅と同じ高さとした。さらに、レンガ造りによりプロットに隣接するさまざまな建築とつながりが生まれ、建物をS字型とすることで、なかば閉じたような2つの公共の緑地もできあがった。

エントランスとなる中庭は、幹線道路に架かる「Hulme Arch Bridge」と向かい合わせになっており、ガーデンスクエアといった趣きがある。一方、リーフ・ストリートに面した公園は、子どもたちの遊び場となる。こうした公共スペースは、ボリュームによってできた大きなゲートでつながっており、アパートメントの入口としても機能している。

また、敷地内に自生していた木々の多くは、建物の優雅な形状によって残されている。多様な植生があり、住民はさまざまな季節を体験できるという。プロット全体の自転車道と歩道は既存のインフラやプライベートな歩道とつながるなど、複合建築と周囲の公共スペースが1つの統一された都市計画として実現している。End

▲S字型構造/p>

▲グラウンド/p>