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2020.06.23 15:15
人間の熟練の技術をAIに学習させて、ロボットに同じ作業を行わせようとする取り組みは、さまざまに行われているだろう。米カリフォルニア大学バークレー校のAjay Tanwaniと、Google BrainおよびIntel AI Labsらの研究チームがこのほど発表したのは、手術後の縫合をAIに学習させるシステムである。
「Motion2Vec」と呼ばれるこのAIアルゴリズムは、縫合作業のビデオを繰り返し見て学習し、その精度を上げていくというものだ。つまり、人間が教え込まなくても見ているだけで模倣していき、なかばひとりでに細かい作業がどんどん上達する、というわけである。
この研究で取り入れたのは、「Siamese network(シャムネットワーク)」とよばれるニューラルネットワーク。これは、2つの異なる画像を比較し距離関数として学習するものだ。
今回は、「JIGSAWS」という一般に公開されている外科縫合作業のビデオセットを使い、動作を模倣。手術用ロボットアーム「ダ・ヴィンチ」を活用して、平均で85.5%のセグメンテーション精度を実現し、その誤差は0.94cmだったという。
もちろん完璧な精度ではないだろうし、すぐに実用化できるわけではないだろう。それでも、画像だけを見て縫合の動作として学習していくことは大きな進歩といえそうだ。