カナダのベンチャー企業、VYZR
Technologiesが開発。病原菌や汚染
物質から身を守る空気浄化式防護具
「BioVYZR」

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

カナダ・トロントを拠点とするベンチャー企業VYZR Technologiesが、病原菌やアレルゲン、汚染物質から身を守る空気浄化マスク「BioVYZR」を開発しました。クラウドファウンディングサイトでは、5月12日に約1700万円の目標金額を達成し販売を開始。その後も予約注文が多く、金額は伸び続け現在約5800万円が集まっています。価格は約27,000円、サイズは大人用と子供用の2種類。購入は、クラウドファウンディングサイト並びに公式HPで受け付けています。初回注文分は、8月15日に発送予定ですが、すでに在庫がなく、次の入荷は8月上旬予定だぞうです。

SPREADはこう見る

「BioVYZR」は、頭から胸部を覆うほどの大きさで、曇り防止加工された透明シールド、しっかりと体に固定できるサイドストラップ、手で顔に触れられるようにグローブが内蔵されています。いちばんの特徴である電動空気浄化システム(PAPR)は、1回の充電で約12時間持続します。

VYZR Technologiesは、考案したプロダクトを提案で終わらせずに実用化するためデザイナーと起業家によるチームで結成されました。もともと粉塵が発生する産業現場や、医療現場で使われていた個人用防護具(PPE)を一般の人々に提供しようと開発されたのが「BioVYZR」です。「BioVYZR」はCOVID-19だけではなく、空気中の病原菌や山火事の際に発生するスモッグ、大気汚染などから人々を保護するために有効です。

個人用防護具を実生活で使うところまできたのか、と驚きました。クラウドファウンディングの支援者は現在1750人で、需要があることもわかります。価格も現実的な設定ですから、生産量が安定したら広く普及するかもしれません。そう遠くないうちにSF映画のワンシーンのような、大きなシールドに覆われた人々が歩く風景が見られるのではないでしょうか。将来的には小型化が進み、現行の大きさでは装着するのに抵抗があった人にも受け入れられ、安全を広く行き渡らせるように進化しそうです。さらに「BioVYZR」をつけたまま食事ができるようになったら、コロナウイルスのみならず、空気中のあらゆる有害物質に怯えずにすむ未来が現実になるかもしれません。End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。