デジタルアーカイブの活用の可能性を示す
「キテンの木」でポジティブにソーシャルディスタンスを促す

2018年よりデジタルアーカイブ活用の可能性を探る共同プロジェクトを行う学術企業「AMANE」とデザイナー・原嶋亮輔(root design office)は、新型コロナウイルスの流行で苦境に立たされたミュージアムやライブラリ施設の文化活動を後押しする「キテンプロジェクト」を開始する。

このプロジェクトでは、文化施設と人々を繋ぐ学術資料の社会的活用と意義を担ったプロダクト「キテンの木」を展開。「木」をモチーフにしたソーシャルディスタンスを促すもので、ポジティブな感覚で人と人が距離をとることができる新しいソーシャルツールである。

ベンチやテーブルに「利用禁止」や「×」といった人を拒絶するコミュニケーションを施す代わりに、人と人との距離を保ちながら、ポジティブなメッセージを発信することがねらいだ。

「木」と呼ばれるベースには、デジタルアーカイブを素材に制作されるA2サイズの印刷紙「キテンの葉」を設置。通常では展示する機会の少ない資料を使うことで、幅広い資料活用を行いつつ、訪れる人々に新たな体験と気づきを提供するという。

さらに、「キテンの木」のデザインフォーマットを通して、クリエーターと資料所蔵施設の学芸員・司書が連携し、レストラン・カフェ・病院など多様な施設での使用も企画。2020年8月からはプロトタイプを用いて、石川県かほく市の西田幾多郎記念哲学館と大阪市の大阪市立中央図書館の2施設で実験展示を開始する予定だ。

▲ キテンの木

木が施設の様々な場所で活用されて林になり、その展開がミュージアム/ライブラリ施設の外へと派生することで文化の森を形成する。同プロジェクトは、そのような広がりを創造したいとの想いから生まれ、低迷する文化活動の再活性化を目指している。End

▲ キテンの葉