NASA、パンデミックへの人間の対応と
環境への影響を調査しダッシュボードに公開

▲ ワシントン州のレーニア山は、米国西部全体にわたって配置された数百の積雪水観測所うちのひとつ。
Credits:Vladi Braun/Unsplash

NASAはこのほど、新しい研究プロジェクトについて発表した。「食料と水の供給の安定性」と「人間の活動における変化が環境にどのように影響しているか」を調べるものだ。

この変化はやはり新型コロナウイルスによって生じたもので、人間の生活のほとんどの側面に影響を与えている。そこでNASAはこの数か月間、パンデミックへの人間の対応が私たちの環境にどのように影響したかを研究しダッシュボードに公開。

たとえば、ロックダウンによって、多くの農家は2つの問題に直面した。1つは外出制限による労働力不足、もう1つはレストランや学校の閉鎖による需要の減少である。労働コストが作物の価格を上回ることがわかり、一部の農家は収穫を放棄することもあったという。

さらに、発展途上国を中心に、景気後退とそれにともなう失業によって多くの人々の食の安全が不安定になり、輸出入の規制や港湾都市およびその周辺での感染拡大、サプライチェーンの混乱などにより、農作物市場の不透明感が高まっているとされる。

これを受けて米メリーランド大学の研究者や「NASA Harvest」は、関連するすべての地球環境データをアクセスしやすいポイント一か所にまとめるプロジェクトを立ち上げ、食糧政策の決定に役立つ農業データのオープンアクセス化の拡大を進めている。

▲ カリフォルニアのディズニーランドでの活動の低下を示すマップ。ブルーのエリアは、COVID-19対応により車の集中や動きが減少したことを示している。
Credits:NASA/JPL-Caltech/EOS at Nanyang Technological University

そのほか、農家と水資源管理者が行う水の供給予測について、これまでのように何百とある観測地点を人が移動して実施するのではなく、リモートセンシングへの切り替えを検討。

また、地域、国、世界レベルで大きく異なるロックダウンの実施状況から、衛星の合成開口レーダーを使ってマッピングを行い、各地の活動の変化や減少がウイルス対策と環境にどのような影響を与えたかを調べることにしている。End