NASA、火星で初の「ヘリコプター」の
動力飛行試験を実施

▲ Credit:NASA/JPL-Caltech

NASAは2020年7月30日(木)、米フロリダ・ケープカナベラル空軍基地から、火星探査車「パーシビアランス(Perseverance)」を搭載したロケットを打ち上げた。

このローバーには、「Ingenuity」という名称の、重さ約1.8kgの飛行試験用ヘリコプターも搭載されているそうで、火星におけるはじめての動力飛行を実施する予定だという。

▲ Credit:NASA/JPL-Caltech

「Ingenuity」は、特注の4枚のカーボンファイバーブレードを備えており、これを約2,400 rpmで逆方向に回転する2つのローターに設置。これは地球上で飛んでいる旅客ヘリコプターの何倍も高速で回転する。また、最新の太陽電池やバッテリー、その他のコンポーネントも備えているが、実験機器を搭載しておらず、「パーシビアランス」とは別に実験を行う予定だ。

実際、火星は地球よりも99%大気が薄く、十分な揚力を得ることは難しいとされる。そこで、「Ingenuity」では機体の軽量化や、地球上で必要なものよりもはるかに大きく、なおかつ高速で回転するブレードが求められた。

▲ Credit:NASA/JPL-Caltech

さらに、2021年2月に火星に着陸し、クレーター「ジェゼロ」で試験を始めるとき、夜間の気温はマイナス90℃にまで下がるそうで、こうした条件下でもヘリコプターが機能することを確認することにしている。

▲ Credit:NASA/JPL-Caltech

また、最大90秒間、1回あたりの飛行距離は約300mで、地上から約10~15フィート(約3~4.5m)の高さで飛行が可能。人間からの指示を受けずに、事前に受けた最小限のコマンドを実行して、単独で飛行するそうだ。

実験が成功すれば、このヘリコプターの技術は、将来的な火星でのロボットおよび有人のミッションで使われる最先端のロボット飛行車両に活用されることになる。そして、軌道上にある探査機や、地上にあるローバーやランダーでは得られない、これまでにない視点からの高解像度の画像や調査が実現し、ローバーが向かいにくい地形へも到達できるようになるだろう。End