10年後には高齢者シェアハウスとなる
種子島のバリアフリー宿屋「境界なき宿屋 カモメ」

▲ カモメ建物全景

建築設計事務所 studio KANROは、鹿児島・種子島の旧饅頭屋をバリアフリーにリノベーションし、誰もが集まり泊まれる宿屋「境界なき宿屋 カモメ」をオープンするためのクラウドファンディングを実施している。

10年後に高齢者シェアハウスとして家主に返還する期間限定の宿屋で、広島で医療・介護・福祉に携わる人や大工・造作家具の職人とプロジェクトチームを結成し、種子島の人々と連携しながら活動しているという。

▲ カモメプロジェクト 広島メンバー

▲カモメプロジェクト 種子島メンバー

▲ 「カモメ」や「やすらぎの郷」のロゴは種子島在住のデザイナー「案図舎」の小野寺いずみが制作

同事務所は種子島にて、家主が元々植物博士だった空き家をリノベーションし、10年後家主に返還する「泊まれる植物館 あずまや」を2018年に完成。

▲「泊まれる植物館 あずまや」外観

▲「泊まれる植物館 あずまや」内観

「カモメ」はこれにつづくプロジェクトで、介護が必要だけど旅行がしたい人たちは、施設がネックとなり、旅行先が選べないことがあり、そんな人たちにも利用してもらいたいという想いから、高齢者も障がい者も誰もが分け隔てなく安心して泊まれる宿屋を目指している。

▲ 薩摩焼作家の城氏とのコラボしたオリジナル食器や照明

▲ ほぼすべての料理が島の食材でつくられる朝食

▲ おばん食堂では、宿泊者がみんなで同じ食材を楽しめるように可能な範囲で軟菜食や刻み食など、食形態の変更にも対応

そして、種子島では年々人口が減り高齢化が進んでいるなか、10年後には高齢者シェアハウス「やすらぎの郷」に生まれ変わる予定。高齢者の孤立を防ぎ、社会と交流のある人間らしい生活を高齢期においても維持していくためのシェアハウスになるそうだ。

▲ 既に始まっている工事の様子

▲ 大工工事を担当する中村夫婦

▲ 古民家の雰囲気を残しながらバリアフリー空間を目指す

また、カモメでは、今まで使われていなかった種子島産の自然素材を新たな利用法で建築に応用。鹿児島の伝統工芸とコラボし、福祉に特化した食器や家具を制作することにしている。End