米のメディア関連企業が エッセン
シャルワーカーのための寄付金を集め
る動画「Hail the Heroes」を制作

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

米国の企業Penske Media Corporationが、エッセンシャルワーカーのために寄付を呼びかける活動「Hail the Heroes」を広めるため、動画を制作しました。集まった資金は非営利団体Team Rubiconに寄付されます。

SPREADはこう見る

Penske Media Corporationは、175カ国以上にデジタルメディアと情報サービスを展開する大企業です。その規模を活かし「Hail the Heroes」の動画には、この活動に賛同したエンターテインメントやファッション、美容、スポーツ、音楽、およびアート業界の著名人たちが登場します。

この動画で大きく印象付けられたのは誰が発言しているのかではなく、120名を超える参加者が呼びかける「Thank you」の数です。

動画自体のアイデアは特別新しいものではありません。ただ、感謝の言葉や「あなたはヒーローだ」という呼びかけが積み上げられる様子を見ていると、無性に感動してしまいました。夜空に打ち上げられる花火や、広々とした海を見たときのような気持ちです。感謝を伝える行為そのものが純粋でポジティブなエネルギーだからこそ「その発言に嘘があるのではないか」といった邪推をせず、素直に受け入れたいと感じました。

この動画は、5月に投稿されていましたが、定期的に見直したくなります。コロナ禍になり、リモートワークや暑い中でのマスク着用、飛沫感染防止のパーテーション越しで聞き取りづらい会話など、いままでの経験にないできごとが増え心の余裕が保てない時があります。これはそんな気持ちが洗われるような動画です。寄付を募集するHPだけを見ると、寄付金の額はそれほど多くないかもしれませんが、想いの厚みが伝わるよう編集された「Hail the Heroes」の動画は少なくとも私の胸に深く刺さりました。End

Penske Media Corporation
デジタルメディアおよび情報サービスを提供する企業。ニューヨークとロサンゼルスに本社を置き、世界11カ国にオフィスを構えている。

Team Rubicon
カリフォルニアを拠点とする非営利団体。退役軍人のスキルと経験を生かしたサポート活動を行う。

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。