ALS患者のコミュニケーションをサポート
MITが顔に貼るウェアラブルデバイスを開発

▲ Image: David Sadat

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉の萎縮や筋力の低下が起こる難病で、会話や他人とのコミュニケーションが困難になる患者もいるという。

こうしたALS患者に対して、米マサチューセッツ工科大学の研究者チームは、患者の顔に貼り付けて、小さな顔の動きや笑顔などを測定できる、伸縮性のある皮膚のようなウェアラブルデバイスを開発した。

▲ Image: David Sadat

これまでにもこうした装置は存在したが、測定に時間がかかったり、かさばったり、フレキシブルでなかったり、なおかつ測定にもばらつきがあったそうだ。

一方、今回開発されたデバイスを使えば、患者は「愛してる」や「お腹が空いた」などのさまざまな感情を小さな動きで伝えることができるようになり、薄くて肌の色にも合わせられるようにメイクでカモフラージュできるなど、ユーザーの自然なコミュニケーションも可能になるとしている。

デバイスは、薄いシリコンフィルムに圧電センサーを4つ埋め込んだもので、窒化アルミニウム製のセンサーは、皮膚上の機械の変形を検出。これを電圧に変換することで簡単に測定できるようになる。さらに、これらのパーツはすべて大量生産が可能で、コストも10ドル(約1,050円)ほどだと考えている。

また、被験者の顔にランダムな白黒のスペックルパターンを施し、笑顔や頬の動き、文字の形に口をゆがめるなどの顔の動きを複数のカメラで撮影する、デジタル画像相関法を使ってセンサーがもっとも有効に機能する位置を特定。

そして、皮膚の変形の測定値から、笑顔をつくったとき、口を開けたとき、唇をすぼめたときなどを区別する機械学習アルゴリズムをトレーニング。これにより、2人のALS患者では約75%の精度で顔の動きを区別でき、健常者では精度は87%に達したそうだ。End