研究員・杉原厚吉が世界錯覚コンテスト2020で優勝した
錯覚研究作品「立体版シュレーダー階段図形」

▲「立体版シュレーダー階段図形」

明治大学 研究知財機構 先端数理科学インスティテュート(MIMS)研究員・杉原厚吉研究特別教授が制作した錯覚研究作品「立体版シュレーダー階段図形」が、このほど世界錯覚コンテスト2020(Best Illusion of the Year Contest 2020)において優勝を獲得した。同コンテストでの杉原研究特別教授の優勝は、通算4回目となる。

この作品は、立体の絵と本当の立体とを混在させると、絵の部分も立体として見てしまうという脳の振る舞いを調べる実験材料として作ったもの。

「シュレーダーの階段図形」は2つの解釈ができる。もっとも素直な第1の解釈は、階段を斜め上から見下ろしたところであり、第2の解釈は階段を斜め下から見上げたところで、この図を上下反転させることで知覚できるのである。

このように複数の解釈を持つ図形は多義図形と呼ばれ、ドイツの自然科学者シュレーダーが1858年に発表した「シュレーダーの階段図形」は、代表的な多義図形だとされる。

一方、杉原氏の「立体版シュレーダー階段図形」は、この多義図形に手すりの立体を取り付けたものだが、元の図形とは違う多義性が生まれているという。

▲「シュレーダーの階段図形」

やはり2つの解釈ができるのだが、どちらも上から階段を見下ろしたところとなる。そして、同じ姿勢の立体を見ていただけでは1つの解釈しかできない。ただし、第2の解釈は、反対側から見ることで生まれるもので、後ろに鏡を立てても見ることができる。

なお、公開されているビデオは、鏡を使う代わりに立体を垂直な軸の周りで180度回転したバージョンである。End

▲紙工作用展開図