京大研究グループ、漢字の手書き習得が
言語能力の発達に影響を与えることを発見

▲写真:Aaron Burden

京都大学大塚貞男 医学研究科特定助教と村井俊哉 同教授の研究グループは、漢字の手書き習得が高度な言語能力の発達に影響を与えることを発見した。

この研究では、言語における読み書き能力の多面性に着目。複数の大学から募集した大学生の漢字の読み、書き、意味理解の能力と、基礎的な認知能力、言語的知識の習得度、文章作成能力との関係性について解析したという。

▲図:同研究が提唱する理論的フレームワーク

まず、研究グループはこの研究に先立って、日本漢字能力検定(漢検)の受検データベースを分析し、漢字能力が「読字」「書字」「意味理解」の3側面から成ることを突き止めた。

そして、この発見を解析した結果、漢字能力の3側面の習得には部分的に異なる複数の認知能力が関わることを発見。このことは、漢字習得に困難を抱える子どもには、習得が難しい漢字能力の側面とその要因(苦手な認知能力)を考慮した教育ストラテジーが必要であることを示唆しているという。

さらに、これら3側面のなかで、書字の習得だけが言語的知識の習得を介して文章作成能力と関連していることを発見。

この研究では、文章作成能力の指標として「意味密度」というものを採用しており、米国で修道女の認知能力の長期経過を分析した「ナン・スタディ」と呼ばれる一連の研究では、20代前半に「意味密度」の得点が高かった人は老年期における「認知予備能」が高く、晩年まで健全な認知能力を維持していたとしている。

そこでこの研究では、こうした知見を考慮に入れながら、学童期の読み書き習得(特に手書きの習得)から、老年期の認知能力維持へといたる生涯軌道に関する理論的フレームワークを提唱している。End