旧県議会議事堂の内装を活かした
茨城県立図書館内の星乃珈琲店

茨城県水戸市に2021年7月、星乃珈琲店 茨城県立図書館店がオープンした。茨城県立図書館は、2001年に県庁移転に合わせて旧茨城県議会議事堂の改修を経て開館したもので、エントランスを入ると正面階段を中心にシンメトリーな空間が広がり、階段を上がると旧本議会場へと続く建造物である。

店舗デザインは、天井高さ15mの1階ロビーの開放性や歴史ある左右対称な空間特性を活かしながら、星乃珈琲店の上質で温かみのあるカフェ空間を融合して設計。内装設計は、日本レストランシステムの宮島忠、Nowhere-Designsの鈴木弦、ambosの石井一東によるデザインチームが担当した。

新たな図書館の顔となるロビーは、シックなトーンで統一しながら、壁3面にブロンズミラーを用いることで空間に広がりをもたせた。さらに、アーチ形状の高さ4mの書棚と上部のミラーの連続性により、県立図書館としての威厳をより一層高めている。

席の構成は、正面階段に向かって左側が複数人で食事を楽しめるソファ席を中心としたエリアを設け、右側には一人でゆっくりと過ごすことができるブース席やガラス天板の大テーブルを配置して、利用者の気分や人数によって席を選択できるようにした。

ロビーの選書は大きく4つに分け、幅広い年齢層に人気の高い「雑誌」「新着図書」、茨城の郷土資料を身近に感じられる「茨城の小説」、利用人数の多くを占める中高生・大学生向けの「ティーンズ」が定期的に更新される。

▲写真:山本慶太 株式会社ナカサアンドパートナーズ

客席で貸し出し前の本を読むことができるカフェを併設した都道府県立図書館は、全国でも珍しいそうで、読書や勉強の場としてだけではなく、人が集い、交流する場として利用され、茨城県の新たな憩いの場となることを目指した。End