ナイフによる出血をすばやく処置する
膨張式の止血デバイス「REACT」

次世代のデザインエンジニアを称え、育成、支援するための国際エンジニアリングアワード「James Dyson Award 2021」の選考が現在行われている。先ごろ、募集対象となっている各国の国内最優秀賞作品を含む上位3作品が決定した。

イギリスでは、Joseph Bentleyがデザインしたデバイス「REACT」が国内最優秀賞に選ばれた。これは、ナイフによる事件で生じた出血を止め、被害者が死に至るのをくい止めるものである。

ナイフによる犯罪は世界中で問題となっており、2020年にはイングランドとウェールズでナイフや鋭利なものを使った犯罪がおよそ46,000件もあったという。

そこでBentleyは、救急車の到着までの平均時間が8分以上なのに対して、出血して死亡するまでに5分しか余裕がなく、また、特別な訓練がなくても対応できるツールがないという点に着目し、応急処置ができる人がすばやく止血できる装置を開発。

REACTは「Rapid Emergency Actuating Tamponade」の略。ナイフが刺さったままの状態ではけっして抜かないことがよいとされるが、それはナイフが損傷部位に内圧を加えながら穴の開いた部分を満たし、内出血を防いでいるからである。

同氏のデバイスもこれと同じ考えに基づいており、医療グレードのシリコン製止血具を傷口に挿入。ユーザーはデバイスに搭載されたモニターで損傷位置を選択し、アクチュエータのトリガーを握ると、止血具が適切な圧力にまで自動的に膨張して止血してくれる。

刺し傷の止血をするとき、救急隊員が傷口にガーゼを詰め込む処置をすることがあるそうだが、こうした止血技術は高度で痛みを伴い、なおかつ傷を負いやすい腹部のような空洞になった部位にはうまくいかないおそれがある。

これに対し、REACTの自動膨張システムでは、すぐに操作できる人が出血を1分以内に止めることができるとしている。End