原研哉が「風土」をテーマに
八重泉酒造と泡盛をプロデュース

日本酒や日本産ワインの瓶、ラベル、ネーミングなどを多数手がけてきたデザイナーの原研哉は、沖縄県石垣市の八重泉酒造と共同で新しい泡盛づくりを開始した。Webサイト「低空飛行」などを運営し、日本の観光産業に価値を見出してきた原は今回、「八重山諸島の風土」をテーマにプロジェクトを展開する。

沖縄の離島群である八重山諸島は、日本の本土とは異なる亜熱帯地域に属している。周囲が海に囲まれている環境から、独自の生態系を形成するなど、八重山諸島含む沖縄は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれているそうだ。

八重泉酒造は、この唯一の環境下を最大限に生かした酒造りとして、儀式的な価値を付与。それぞれの手法を「風土仕込み」という考え方で総括しているという。そこで同プロジェクトでは、世界の高級酒と肩を並べるような強いストーリーを持つ酒として、高価格帯での展開を目指し、庶民の酒として親しまれてきた従来の泡盛とは一線を画す、新たな領域を切り拓く酒を作るとしている。

▲原研哉

原は、「僕は度数の高い酒が好きです。度数の高い酒は呪術的なものであり、魔的な存在です。舌の先で繊細な味わいを感じ取るだけの世界ではありません。酒の物語はなによりその土地の風土に根差すもので、人はその物語に酔うのではないでしょうか」と語る。

さらに、「八重泉酒造の泡盛を飲んだ瞬間、手応えを感じました。世界のコンペティションの焼酎部門で金賞を獲り続けている実力を確かにそこに感じたのです。亜熱帯の八重山諸島という土地を見定めて、その風土の魅力をひとつの世界として描き出してみたいと考えています」とコメントしている。End