庵治石を使った砂時計型のスツール
花澤啓太「THE TIME < AJI-STONE STOOL >」

デザイン会社「アンノット」の代表・プロダクトデザイナー 花澤啓太と、香川県の超石工アーティスト集団「たぶん、加工。」は、2022年1月22日(土)・23日(日)に香川県高松市で開催されたプロジェクト「SANUKI ReMIX」にて、庵治石(あじいし)を使った砂時計型のスツール「THE TIME < AJI-STONE STOOL >」を発表した。

庵治石は、香川県高松市東部の牟礼町・庵治町でのみ産出される希少性の高い石。水晶と同程度の強度があり、研磨すると石の表面にまだら模様の光沢「斑(ふ)」が現れるのが特徴だ。これは庵治石だけに見られる現象で、その神秘的な美しさから「花崗岩のダイヤモンド」とも呼ばれるという。

今回、花澤と「たぶん、加工。」が手がけたスツールは、中目・細目・錆石という3種類の庵治石を使用しており、それぞれ違った表情を備えている。また、2つの石を繋ぎ合わせ、中央の部分に鉄芯を入れたのちに接着することで、強度をもたせるとともに、実用可能なスツールで美しいくびれを実現。このユニークな加工は、多種多様な石の加工技術がある産地だからこそできる熟練の技だという。

「時間」をコンセプトに、公共施設や屋外で使用するスツールとして、「石が砂になる時間」や「人それぞれの時間」「モノやコトが経過する時間」を感じ、楽しんでもらいたいという思いからデザインされている。

この「砂時計型のスツール」は、砂の大原型といえる石で制作されているとも考えられる。やさしい曲線で形づくられたこのスツールを屋外の公共空間に設置したとき、行き交う人との関わり合いや座った人の過ごす時間、庵治石のスツールが自然環境で長い時間をかけて起こす変化について、想いをはせることができるだろう。End