プラスチックのリサイクルをイメージした
倒れても起き上がるチェア「Virén Chair」

1950年代より私たちの日常を支えてきたプラスチックだが、現代では廃棄されるごみの問題により、その使用量をいかに抑えるかを課題とするべきだという人もいるろう。これに対して、むしろプラスチックのリサイクル率の向上を目指すべきだと主張する人もいるようだ。

こうした観点から、フィンランド・エスポーに本社を置く電力会社のフォータム(Fortum)はこのほど、新たなプロジェクトを発表した。それは同社が開発したリサイクルプラスチック「Fortum Circo®」を使ったチェアを作ること。この素材は、高品質でさまざまな製品に使用することができ、その成分もユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできるそうだ。

今回発表したチェア「Virén Chair」の特徴は、なんの機械的な仕掛けもなく、倒れてもひとりでに起き上がってくれることにある。まさに、プラスチックがリサイクルされて、持続可能な素材として蘇るのを象徴するようなアイテムである。

「Virén」という名前は、フィンランドの陸上長距離選手であるラッセ・ビレン(Lasse Virén)にちなんでいる。彼は1972年に開催されたミュンヘンオリンピックの男子10,000m決勝戦において転倒してしまったが、それでも立ち上がって見事に金メダルを獲得し、当時の世界記録を樹立したという。

また、フォータムのブランドマネージャー Jussi Mälkiäは、「Virén Chairはフィンランドのデザインに対するオマージュが込められており、1960年代にフィンランドのデザイナーたちが開発したプラスチック製の家具の特徴を備えています」とコメント。

エンジニアや物理学者、研究者など、さまざまな専門家と共同で開発したそうで、フォータムのクリエイティブパートナーとしてTBWA\Helsinkiも参加。プロトタイプは同国のMaker3Dと共同で3Dプリントしたが、今のところ商品化はしない模様だ。End