コロナ後のモビリティのためのマニフェスト
Map Project Officeによる「Mobility as an Ecosystem」

世界経済における巨大産業のひとつは「モビリティ」である。自動車をはじめ、船舶や航空、鉄道、公共交通機関を合わせると、数兆におよぶセクターがあるとされる。これは交流したり、移住したり、貿易したり、旅行したりしたいという、人間の強い欲望を表すものである。

しかし、パンデミックにより、グローバルシステムは混乱にみまわれ、モビリティも大きな影響を受けた。では、コロナ後のモビリティは以前の姿に戻るのだろうか。

そこで、英ロンドンに拠点を置くインダストリアルデザインスタジオ Map Project Officeは、コロナ後にモビリティが取り組むべき変化と、そのためのデザインについてまとめたマニフェスト「Mobility as an Ecosystem」をこのほど発表した。

同事務所によると、パンデミックの以前からモビリティの分野では、人間が求めるニーズやコミュニティの機能よりも、技術革新や人目を引くようなデザインに重きを置いてきたという。今後ますます人口が都市に集中するなか、むしろEVや自動運転車、AI搭載自動車よりも、都市を「カースケール」から「ヒューマンスケール」に変え、人々のための公共スペースを取り戻すことを考えるべきだと主張している。

また、モビリティは「名詞」ではなく「動詞」として、つまりたんなるモノの配置ではなく、物事が発生するアクションとして考えるべきだとし、「何を」よりも「なぜ」や「どのように」と問うべきだとする。

結局、このマニフェストでは、個別の自動車にフォーカスするのではなく、「モビリティエコシステム」に移行することを提言している。それは、人とコミュニティを中心に据え、その周りに建物や既存の交通インフラが層状に重なったモデルである。そして、これらの層を通じてはじめて、これらと新しいインフラや技術革新とのギャップを埋めることができるようになるとしている。End