ゲーム内でワインの香りが楽しめる!?
スウェーデンの大学がVR向けのにおい装置を開発

▲Photo: Jens Lasthein/Stockholm University

私たちにとってなじみ深いビデオゲームだが、これまでは画面上で動く映像ばかりを追いかけてきた。つまり、「見る」こと以外の感覚は使われることがなかった。そこで、スウェーデンのストックホルム大学マルメ大学の研究チームが、ゲームに新しい感覚を持ち込んだ。

彼らが開発したのは、ゲーム用コンピューターで使えるにおい装置である。ゲーム内でプレイヤーはバーチャル・ワインセラーを入り、さまざまなワインがつがれたバーチャル・ワイングラスを手に取って香りを当てるそうで、グラスを持ち上げると、VRシステムのコントローラーに搭載された小型のにおい装置から香りが発するという。

▲Photo: SCI LAB/Stockholm University

嗅覚測定器にはにおいの元となる4つの弁があり、中央にはチューブに空気を送り込むファンがついている。コンピューターを通じて4つのチャンネルを操作し、弁の開き具合を調節して、さまざまな香りを混ぜ合わせて放出する。本物のワインの複雑な香りが再現でき、複雑さのレベルを上げることで難易度を変えることも可能だ。

▲Photo: William Fredborg/Stockholm University

▲Photo: SCI LAB

この「ワインテイスティングゲーム」について、研究チームは「一般的なゲームでは、プレイヤーが上達すれば難しくなりますよね。この香りのゲームは、すでに嗅覚が優れたプレイヤーでも楽しむことができるのです。そして、このにおい装置を使えば、ワインテイスターや調香師のトレーニングもできます」と語っている。

なお、このバーチャル・ワインテイスティングゲームのコードと、におい装置のすべてのコード、設計図、説明書はオンラインで公開。研究チームとしては、においのゲームとしてだけでなく、それ以外の目的にも役立ててほしいそうだ。

たとえば、コロナの後遺症やさまざまな理由で嗅覚を失った人にゲーム感覚のトレーニングを行い、嗅覚を取り戻す機会を提供できるのではないかと研究チームは期待している。End