サステナブルなデザインのCMF

最近「サステナブル」「Re:○○」「エシカル」「SDGs」など、地球環境に配慮した言葉を耳にしない日はありません。今回は、そんな言葉をもとにしたデザインにどのような特徴があるのか、筆者の身の回りにあるものをCMF(Color/Material/Finish)視点で探ります。

RePLAYER – Pass Case

RePLAYER」は、三井化学が廃プラ等の廃棄物を資源と捉え、再利用していく取り組み。

三井化学が手がけた「RePLAYER – Pass Case」は廃棄されるレジ袋を組み合わせてつくられたパスケースです。

福祉施設で制作されていることも特徴で、手作業で細かく裁断したレジ袋が独自の感性でコラージュされています。ひとつとして同じ柄がないため、購入するときにどれを選ぶか迷いますがそれも醍醐味です。手作業による温かみや優しさを感じられるデザインにすることで、廃棄されるレジ袋が長く使うことのできる商品へと生まれ変わっています。

東京未来素材

三幸電気製作所が開発した「東京未来素材」は紙パウダーを51%以上含有しているバイオマス素材で、焼却時にダイオキシンおよび有害なガスが発生しないという特徴がある。

三幸電機製作所が開発した、燃やせるプラスチック素材(東京未来素材)でつくられたコップです。

主な成分は「紙」ですが、電子レンジや食洗機など一般的な食器と同じように繰り返し使用することが可能です。表面はマットでサラサラとしていて紙製品のような素朴さを感じます。成形する際に現れたと思われる色ムラも、うっすらと浮かび上がるマーブル模様のように見えて、アクセントになっています。

日清食品株式会社オリジナルエコカトラリーセット

日清食品グループで取り組んでいる「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」という環境戦略の中で行われたキャンペーン。SDGsの目標数と同じ17色で展開されており、「エコでカラフルなカトラリーで食を楽しく、地球に優しく。」というメッセージが添えられている。写真は17色あるうちのオレンジ。

通常コンビニで配布されているカトラリーとの比較。左がオリジナルエコカトラリーセットで右がコンビニのカトラリー。

持続可能な社会を実現するために、日清食品がコンビニエンスストア6社と共同で実施したキャンペーンでプレゼントしていたカトラリーです。

原材料の一部に本来廃棄される小麦の一部を再利用することで、プラスチックの使用量を抑えています。普段、コンビニで配布されているものと比較してみると、マットな質感と黒い粒々とした素材特有の風合いがあります。真新しさはありませんが、使い捨てられるプラスチックのカトラリーを、長く使い続けられるプロダクトへと昇華しています。

NIKE Space Hippie

「NIKE Space Hippie」はナイキが行っている「MOVE TO ZERO」という取り組みから生まれたデザインのひとつ。資源が限られている火星での生活をヒントに「宇宙ゴミ(廃棄物)」とデザインを融合させたプロダクト。

NIKE Space Hippieは「宇宙ゴミ」のように工場の床に散らばるスクラップを蘇らせ、循環性を重視しながら斬新なデザインに仕上げた実験的なフットウェアコレクションです。

特徴的なのは、ソールの部分の「クレーターフォーム」と呼ばれる白いラバーの中に使われなくなったシューズ(廃棄物)をリサイクルしてつくった素材「Nike Grind」が散りばめられていることです。廃棄物を再利用することで、通常の製品と比べて、二酸化炭素排出量が半分以下になったといいます。

アッパー部分も循環性に配慮されています。例えば、ナイキのロゴマーク部分に使用している糸は100%再生素材が使われていて、さらにマークをステッチでかたどることで、糸の使用量を少なくする工夫がされています。

リサイクル前の素材を比較的残したソール部分とさりげなくリサイクル素材を使用しているアッパー部分の対照的な見せ方にデザイン性の高さを感じました。

今回はサステナブルな素材についてCMF視点でレポートしましたが、不揃いなものやムラから生まれる唯一性や素朴さが地球や未来を想う気持ちとリンクしているという気づきを得ることができました。製品がつくられたストーリーを知ることもサステナブルにつながっていくと実感できました。End