安藤忠雄がメルボルンで手がけるパビリオン
「MPavilion 10」のデザインが公開

Photos by Courtesy Tadao Ando Architect & Associates

メルボルンのナオミ・ミルグロム財団が運営する建築委員会 MPavilionは、建築家の安藤忠雄が設計するパビリオンのプロジェクト「MPavilion 10」のデザイン案を2023年5月11日(木)に公開した。

MPavilionは、毎年1組の建築家を招き、同市にユニークなパビリオンを建設する取り組みである。建築やアート、デザインの可能性を考えるデザインフェスティバルの一環で、パビリオンは竣工後にクイーン・ビクトリア・ガーデンズにて一般に公開される。

「MPavilion 10」は、幾何学的な円と正方形を組み合わせることで、自然と調和した空間を公園内につくり出すことを目指してデザインされた。空間を仕切るコンクリートの壁は、伝統的な日本庭園の囲いを想起させるもので、パビリオンに静寂をもたらす。北側と南側の壁には、水平に伸びるW19,400×D225mmの細長い開口部を設け、ダウンタウンや公園の風景を垣間見せるとともに街と公園の豊かな緑をパビリオンの内側に取り込む。

安藤は「MPavilion 10のデザインは、メルボルンの緑のオアシスのなかに永遠の感覚を生み出したいという想いが出発点となりました。そこを訪れるすべての人の心に永遠に残る体験をもたらしたかったのです。なにもない空間に光と風があふれ、そこに生命が吹き込まれる。そんな建築をイメージしています。それは、環境と共鳴する場所、公園と一体になる場所、さらには無限の創造力が開かれる場所だと言えるでしょう。このパビリオンは、人間と自然界、そして終わりなき対話が交わるように設計しました」と想いを語っている。End