民藝運動の創始者・柳 宗悦ゆかりの
富山の寺に複合施設「杜人舎」がオープン

杜人舎外観

富山県西部の砺波地方には、柳 宗悦が名づけたとされる「土徳(どとく)」という言葉が伝わる。「厳しくも豊かな環境の中で、人々が自然と一緒につくりあげてきた土地の精神風土」を指す言葉であり、柳は土徳のあるこの地方の暮らしに民藝思想を見出すとともに、彼もまた土徳に影響を受けて民藝思想を深化・発展させた。

こうした土徳が息づく同県の南砺市にある、550年の歴史を持つ名刹・城端別院善徳寺の敷地内で、宿泊を中心とした複合施設「善徳寺 杜人舎(ぜんとくじ もりとしゃ)」が2023年12月1日(金)にプレオープンした。

城端別院善徳寺

善徳寺は、柳が晩年に62日間滞在し、民藝思想の集大成となる論文「美の法門」を執筆した場所でもある。今回オープンする「杜人舎」は、柳の愛弟子で富山の木工家兼建築家である安川慶一(1902-1979)が設計した善徳寺内の研修道場を改修し、設計は、富山出身の建築家 浜田晶則が率いる浜田晶則建築設計事務所が手がけている。

杜人舎チェックインスペース Photo by Yuki Tanaka

講堂&ラウンジ

客室イメージ

1階には地域の人々が気軽に利用できるカフェとショップ、仏教や民藝に関する講座などを行う講堂、テレワークスペース(善徳寺建物内)、2階には長期滞在が可能なホテル全6室を配置。館内や客室には、棟方志功や浜田庄司、河井寛次郎といった民藝作家の作品や世界の民藝品を展示している。

地域の工芸作家の工房を訪ねるアクティビティ

さらに、善徳寺の僧侶をはじめ、善徳寺内でつくられる名物「さば鮨」といった郷土料理を伝える地域の女性たち、伝統産業を担う職人や工芸作家、有機農業に取り組む農家らを講師に迎え、土徳に触れるプログラムやツアーを提供。職人の工房や農林漁業の生産者を実際に訪問するなど、地域の中での学びが体験できる。プレオープンでは企業や大学の研修・合宿向けの団体宿泊を開始し、一般宿泊は来春よりスタートする。End

善徳寺 杜人舎

住所
富山県南砺市城端西上405 善徳寺内
客室数
全6室(最大収容人数13名)
プレオープン
2023年12月1日(金)
詳細
https://www.moritosha.jp/