ソニーCSLによる創造性の加速支援システム「Tomonami」
第2弾は友禅作家の四ツ井 健と協働

Tomonami 操作画面。

ソニーコンピュータサイエンス研究所は、創造性の加速を支援する新たなシステム「Tomonami(トモナミ)」の第2弾の取り組みとして、友禅作家の四ツ井 健と協働したシステム「Tomonami for Ken Yotsui」を発表した。

「Tomonami」は、同研究所のアレクシー・アンドレ研究員が手がける「創造性の加速(Creativity Acceleration)」の研究から生まれたシステムである。まず、対象となるアーティストがこれまでに製作した作品から表現の特長を独自に抽出し、アーティストが志向するイメージを生成するためのルールを作成。これをパラメータにして独自開発ソフトウェアのユーザーインターフェースへ反映させ、創造に向けてカスタマイズされた探索空間をアーティストに提供する。

アーティストは、パラメータを操作して検索空間から自律的に選択肢を探り、その選択肢を採用するかどうかを芸術感覚やセンスで評価・判断することで、短時間でアイデアを創出できるようになる。創作過程の試行の高速化が行われ、アーティスト自身が想像しえなかった新たな創作につながるとしている。

「Tomonami for Ken Yotsui」による作品は、東京・銀座の呉服店銀座もとじにて先日行われた四ツ井の個展で披露された。美しく着るために必要な模様の連続性と制作上の制約となる模様の連続性の両立をいかに具現化するか、という同氏の課題への対応はTomonamiにより加速され、新たな表現の可能性が示された。

Tomonamiを活用して制作した作品。

四ツ井は「Tomonamiは、ひとりの良き友人のように僕にいろいろな事を語りかけてくれる。褒めもケナシもしないクールな友人だ。これまでは頭の中のふんわりとした感覚的なイメージを追いながらのデザイン探求だったが、Tomonamiを使うことで、頭の中を整理しながら探求を行うように思考の工程が変化した。デザインが飛躍的に明快となる感覚が新鮮だ。答えのない芸術に答えを出そうとする行為をするのがアーティストならば、Tomonamiで数式化された画面構成術は、その回答への一助になるだろう」とのコメントを寄せている。End