熱伝導率の高さで急速加熱を実現する
イハラ製作所のアルミ製羽釡「アラヒ」

輸送用機器部品の製造や産業用機械・ロボットの設計製作を行う静岡県浜松市のイハラ製作所は、同市に拠点を置くプロダクトデザイン事務所「UO」と共同で、アルミ製羽釡「アラヒ」を開発した。

さまざまな場面で「時短」が求められる昨今だが、炊飯についてはゆっくりと時間をかけて加熱することが良いと考える人も多い。「アラヒ」は、竈門(かまど)で使用される伝統的な羽釡の効率的な熱の伝わり方を、ガスコンロで再現するために開発。アルミ素材がもつ熱伝導率の高さや急速加熱を促す設計により、調理時間を短縮する。

さらに、急速加熱は米に発生するクラック(ひび割れ)を低減し、米の粒に旨みを凝縮したごはんを炊き上げる。土鍋炊きのふっくらした米に比べると、シャキッとした粒感がありながら、噛むほどに米の甘みを感じる炊き上がりとなる。

同製品の監修には、浜松市にある日本料理店「勢麟」の料理長・長谷部敦成氏が参加。同氏の米炊きのこだわりのひとつは、客に提供する前に何度も米を炊き、羽釜の内部に黒い炭化層をつくる下準備をすることにある。「アラヒ」では、テフロンに比べて耐久性に優れるアルマイト処理によって炭化層の機能を再現。これによりアルミ素材と米との接触を防ぎ、米本来の味を損ねない。

従来の土鍋は重く、割れや欠けが発生しないように慎重に扱うが、同製品は軽量で頑丈なアルミ製のため手入れが簡単。長く使えて経年変化も楽しめる。蓋に炭を乗せて上から加熱するダッチオーブン調理もできる耐熱性・耐久性も備えており、アウトドアでの利用も可能だ。End