黒く発色するステンレス「ABEL BLACK」を用いた
デザインプロジェクトをミラノデザインウィークで公開

大阪府八尾市を拠点とするステンレス表面処理加工の専門企業 アベル株式会社は、同社が開発した黒く発色するステンレス「ABEL BLACK(アベルブラック)」を軸とする新プロジェクト「ABEL BLACK」を始動。2024年4月にミラノデザインウィーク2024にて、「Some Thoughts on Blackness(黒を巡る思想)」のタイトルのもと、同プロジェクトを初披露する。

Photo by Yuichiro Noda

「ABEL BLACK」は、特殊な加工によりステンレスそのものを発色させ、従来の塗装やメッキでは不可能だった金属のリアルな質感と豊かな色表現を同時に実現する技術である。色の剥がれがなく、耐熱性、耐候性、耐食性に優れ、リサイクルも可能という利点を備えており、強くて美しいことから、高級感のある建築部材やクルマの外装材、什器の意匠などに使用されている。

展覧会「Some Thoughts on Blackness(黒を巡る思想)」では、オランダのアーティスト フラー・ファン・ドーデワード(Fleur van Dodewaard)と、日本のデザイナー 柳原照弘が率いるTeruhiro Yanagihara Studioを迎え、アートとデザインの立場からまだ見ぬ黒の可能性を追求する。

Photo by Ichiro Mishima

Photo by Ichiro Mishima

フラー・ファン・ドーデワードは、モノリスのように重厚で存在感のある大きな黒いステンレス板を用いた作品「SCULPTURE A+B(A LOVE STORY)」を発表。複雑な形状に折り曲げた2枚の板は、互いを支え合いながら絶妙なバランスで配置され、見る角度によってそのかたちをさまざまに変える。空中にさっと一筆書きをしたかのような簡潔さと、果てしない変化を受け止める寛容さを表現している。

Photo by Ichiro Mishima

Photo by Ichiro Mishima

一方、Teruhiro Yanagihara Studioによる連作「Studies on Black」は、「ABEL BLACK」を同じ形状に切り出し、そこにシンプルな折りや曲げの成形加工を加えて、黒色のなかに生まれる幅広い光と奥行きを検証した。制作過程の環境条件の違いによって現れるオーロラ状の光の渦にも注目。複数の要素が重ね合わされることで深みのある黒が実現する様子を明らかにした作品である。

同プロジェクトでは、「ABEL BLACK」のもつ表現域の可能性に対し、素材の本質的価値を見極め、さらにそのポテンシャルを引き出すため多様な実験に取り組んだ。来場者は作品をとおして、黒をベースとした色彩の定義、色と光の関係、色が感性に及ぼす影響を深く理解するだろう。End

Some Thoughts on Blackness(黒を巡る思想)

会期
2024年4月16日(火)~4月21日(日) 10:00~18:00
会場
Secci Milano <majotae 9490> 会場内
(Via Olmetto 1, 20123 Milano, Italia)
詳細
https://www.abel-s.co.jp/