2050年の京都市に向けた都市構想が公開
インターフェース「ニジリグチコモンズ」を提唱

東京を拠点に活動するクリエイティブ・カンパニーのロフトワークは、京都市が目指す「文化と経済の好循環を創出する都市」をテーマに、京都内外の企業や人々と行ったディスカッションやリサーチ、分析をまとめたレポートを公開した。

少子化や人口減少が最重要課題である京都市にとって、強みとなるのは「文化力」である。これを最大限に活かした政策を推進するうえで、京都市は自分たちの文化や価値観への愛着などを起点に共感者を増やし、文化的遺伝子を残すための事業を行う「カルチャープレナー(文化起業家)」に着目している。

ロフトワークが創造する新しい評価軸や社会的インパクトを京都市から発信することで、創造的な人々が集まり定着するという、「優れた文化を創造しつづける永久に新しい文化都市」への発展を目標にかがけている。

Project Vision

リサーチツアー「都市と水」。京都の “地下水” がどのように形成され、使われてきたのかを把握するため、地形、歴史、文化的観点からの洞察や科学的観点からの解析結果を検討。

2日間に渡る「都市と水」フィールドワークの企画。有識者、京都市、情報機関、企業、アーティスト、デザイナーなど多岐にわたる専門領域から30名ほどが参加。

京都市京セラ美術館「光の広間」で行われた、ディスカッションの様子。

ロフトワークが企業や京都市とのディスカッションを通じて提案するのは、持続的繁栄を目指す都市構想モデル「創造的都市、京都」の仕組みとなる、KYOTO_MODEL001「Interface」である。具体的には、京都の中核にある価値を維持するための「ニジリグチコモンズ」をOSとして設計する仮説を立てた。

茶室の出入口である躙口は、千利休が草庵茶室「待庵(たいあん)」に設けた小さな入口が始まりとされる。同プロジェクトでは、躙口を「経済合理性が文化よりも優位に働くことを無効化するシステム」として捉え、これを体現するものとして、文化と経済のバランスを最適化する機能をもった仕組みであり、同時に「新しい適応する何か」を起こすインターフェースとして「ニジリグチコモンズ」を提案している。

同レポートは、人口増加が都市の価値であるという考えから脱却し、都市構造を本質的に読みとく重要性を提起。文化、環境、都市、サステナビリティ、ウェルビーイングなどを社会の起点として、オープンイノベーションや価値共創に挑む行政や教育機関の参考となるはず。レポートは、ロフトワークのウェブサイトからダウンロードが可能である。End

「Interface ニジリグチコモンズ」 を同プロジェクトの重要なアイコンとしてビジュアライズ。茶室の躙口がデザインイメージソースとなっている。躙口とは千利休が草庵茶室・待庵に設けた小さな入口がはじまりと言われており、頭を垂れて伏してにじりながらでないと入れない大きさで、武士の時代には刀を腰につけているとくぐれないので躙口の外に刀を置く場所があったとされている。茶室に入ることで身分の差がなくなり、茶室の中では平等であり、人としてのコミュニケーションを紡ぐ場所として茶室という存在があった。「今を生きる私たちにも他者と理解を深め合い、共に生きる社会の先に豊かさがあってほしい」というグラフィックデザイナー鈴木孝尚の願いが込められている。マークは、縦2尺1寸8分、横2尺3寸の図形を二つ並べ、水色は濃度を薄く「弱さ」を、赤色は「温度」を、2色の重なりをInterface(界面)として表現している。