Clouds Architecture Officeがデザインする
火星の水中都市コンセプト「MARS HYDROSPHERE」

MARS HYDROSPHERE

2025年5月10日(土)から11月23日(日)まで開催中の「第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」に、建築オフィス CLOUDS Architecture Office(クラウズ・アオ)が出展。アルセナーレ館にて、火星の水中都市コンセプト「Mars Hydrosphere(マーズ ハイドロスフィア)」を発表する。

曽野正之とオスタップ・ルダケヴィッチが主宰するCLOUDS Architecture Officeは、2010年にニューヨークで設立。「環境の知覚体験」をテーマに、建築設計やデザイン、リサーチといった幅広い分野の知見を融合し、住宅・公共施設からパブリックアート、さらには宇宙建築に至るまで、多種多様なプロジェクトを提案している。

有人火星探査に向けて、さまざまな国家や民間企業が輸送システムの開発を競っている。そうしたなかで、将来的に火星に人類が住むことは可能だろうか。その問いの答えとして、火星のクレーターを利用した水中都市の構想「Mars Hydrosphere」を発表した。

生命を維持するのに必要不可欠となる水だが、現代の先進国では一人当たり1日約150リットルもの水を使用する。火星の地中には氷として大量の水が存在することが証明されている。また、人体に有害な銀河宇宙線や太陽宇宙線が降り注ぐ火星地表面において、水は極めて効率的なシールドにもなりうる。

第19回ヴェネツィア・ビエンナーレ 国際建築展に設置されたスケールモデルの写真。

そこで「Mars Hydrosphere」では、1万人規模の安全かつ快適な生活を確保するため、クレーターを利用した貯水池のなかに都市を建設することを提案。透明な水は、シールドとしての役割を果たしながら、自然光を採り入れて日周リズムを確保し、また周囲の眺望を楽しむことも可能にし、精神的な健康の維持にも寄与する。

今回構想した技術は地球における、水中の開発・探索・アクアポニックス施設、または海面上昇に対応した住居や非常時の放射線シェルター等としても転用可能で、さまざまな可能性を持っている。End