夏目漱石の装幀で知られる版画作家
展覧会「橋口五葉のデザイン世界」開催

『吾輩ハ猫デアル』上・中・下編(夏目漱石著)1905~1907年 個人蔵 撮影:上野則宏

東京都の府中市美術館は、明治から大正にかけて活躍した版画作家・橋口五葉(はしぐち・ごよう、1881-1921)の仕事を紹介する展覧会「橋口五葉のデザイン世界」を、2025年5月25日(日)から7月13日(日)まで開催する。

橋口は、女性の美しさを柔らかく表現した版画作品で知られる。その一方で、夏目漱石の小説「吾輩ハ猫デアル」の装幀やポスターを数多く手がけるなど、洋画や日本画のジャンルを超えた多方面で活躍した。

橋口五葉による夏目漱石著作の装幀 個人蔵(千葉市美術館寄託ほか) 撮影:上野則宏

橋口五葉による泉鏡花著作の装幀 個人蔵(千葉市美術館寄託ほか) 撮影:上野則宏

『浮草』(ツルゲーネフ著、長谷川二葉亭訳)1908年 撮影:上野則宏

漱石とは美術学校在学中から交流があり、古美術から同時代の英国美術にいたるまで、美術に対する深い知識と関心をもつ漱石に認められ、同氏の著作の装幀を手がけるようになった。

さらに橋口は、同時代のヨーロッパの美術潮流のひとつであるアール・ヌーヴォーと、琳派や浮世絵といった日本の伝統を踏まえ、これらを自らの美意識のもとに融合した、唯一無二の作品世界を確立した。

《此美人》1911年 鹿児島市立美術館蔵

《黄薔薇》1912年 鹿児島市立美術館蔵

《孔雀と印度女》1907年 鹿児島市立美術館蔵

《髪梳ける女》1920年 鹿児島市立美術館蔵

《化粧の女》1918年 鹿児島市立美術館蔵

同展では、日本の書斎空間を美しく彩った五葉の装幀の世界を、およそ50点の書籍とともに紹介。職人との協業や素材へのこだわり、花々や小動物のモチーフで埋め尽くす華やかな装飾性など、装幀を出発点として橋口の豊かなデザインの世界を堪能できる内容となっている。End

橋口五葉のデザイン世界

会期
2025年5月25日(日)~7月13日(日) 
前期:5月25日(日)~6月15日(日)
後期:6月17日(火)~7月13日(日)
休館日
月曜日
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場
府中市美術館2階企画展示室
(東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内))
詳細
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/Hashiguchi_Goyo.html