海外パビリオンが示す次代のビジョン

58の国・地域、7の国際機関が参加し、その内64カ国が独自のパビリオンを出展する大阪・関西万博。ひとつの会場にこれほど多くの国の建築やデザインがいっせいに集う機会はほかになく、万博の大きな魅力である。環境に配慮した構造や素材を使った建築をはじめ、最新技術と文化遺産を融合させた新しい体験設計など、海外パビリオンの見どころをハイライトで紹介する。

イタリア館
建築設計:マリオ・クチネッラ(MCA—マリオ・クチネッラ・アーキテクツ)
体験設計:ゼランタ・エデュテインメント
アーキテクト・オブ・レコード(AoR):松田仁樹建築設計事務所

  • Italy ──ルネサンス時代の「理想都市」を再解釈
  • The Netherlands──球体を使ったインタラクティブな体験
  • Kuwait──曲線が描く豊かな自然と工芸文化
  • Colombia──物語を紡ぐ氷のブロック
  • Saudi Arabia──技術と素材で再現した中東の街
  • Switzerland──軽量建築を実現した空気膜構造の球体
  • Czechia──ボヘミアンガラスが見せる創造性
  • Philippines──織物文化が誘うカラフルな体験
  • France──劇場から自然へ 運命の赤い糸を辿る
  • Belgium──金継ぎと水で表現する人間の再生
  • Nordic Countries──5カ国で表現する北欧の現在地

Italy ──ルネサンス時代の「理想都市」を再解釈

イタリア館のテーマは「芸術は生命を再生する」。ルネサンス時代を想起させる「理想都市」を未来に向けて再解釈した。建築にはウルビーノのルネサンス絵画「理想都市」に着想を得て、広場や列柱のあるポルティコ(柱廊)など、絵画に見られる特徴を取り入れた。来場者の体験は「劇場」「理想都市」「イタリア庭園」の3つのテーマで構成される。「劇場」では、音、色彩、動きが融合した没入型の映像が展開。「理想都市」では「健康と環境」「ものづくりとインフラ」などテーマごとのワークショップが開催される。屋上には幾何学的なアルゴリズムを用いて設計された金属プランターが採用され、ルネサンス時代の優雅さと計算された緻密さを融合した「イタリア庭園」が広がる。