Inside the periphery, 2025 ©Ryan Gander Courtesy of KAMU kanazawa Photo by Ling Chan

石川県金沢市の現代アート美術館「KAMU kanazawa（カム カナザワ）」は、同市に本社を置く複合商社・三谷産業との協同プロジェクト「TOWN hack Flag Art Project with MITANISANGYO」をスタート。

KAMU kanazawaは、野外アートプロジェクト「TOWN hack（タウンハック）」を展開し、金沢の街全体を展示空間と捉え、本多公園や香林坊の地下広場、新天地商店街、金沢市内18カ所の電柱などを舞台に、アート作品を街の文化や景観に溶け込ませる取り組みを行ってきた。

三谷産業金沢本社 社屋

今回は、同プロジェクトをさらに発展させるため、三谷産業との協力が実現。「TOWN hack Flag Art Project with MITANISANGYO」は、アーティストが「旗」の作品を制作し、三谷産業の本社社屋正面にある掲揚塔（フラッグポール）に掲げるプロジェクトだ。作品は同社にアーカイブされ、シリーズ化も予定している。

初回は、イギリスの現代美術家 ライアン・ガンダー（Ryan Gander）による「Inside the periphery」を、2025年6月4日（水）から2026年5月31日（日）まで展示。2023年に発表された作品「Centred on the periphery」を再構成して披露する。

Inside the periphery, 2025 ©Ryan Gander Courtesy of KAMU kanazawa Photo by Ling Chan

「Inside the periphery」は、日の丸やさまざまな国旗に加え、海賊旗、架空の団体の旗を1枚の旗の上に重ね、カテゴリーや現実・非現実の境界を越えた記号をつくり出す作品。これらのシンボルの重なり合いは、さまざまな対象に帰属意識を抱く、人間の多様性を想起させる。

さらに、政治や文化の世界的な分断、排他的な思想の台頭が懸念される現代社会において、自由とはなにか、他者を受けいれる許容性をいかに認識すべきかを問いかける。図案のなかには三谷産業の旗や前田家の梅鉢紋もあしらわれ、金沢でしか出会えない特別な作品となっている。

TOWN hack Flag Art Project with MITANISANGYO：プロジェクトロゴ