現代美術家 内藤 礼のアートワーク「返礼」
砺波市のアートホテル「楽土庵」で公開

Photo by Nik van der Giesen

富山県砺波市のアートホテル「楽土庵」は、現代美術家 内藤 礼のアート作品「返礼」を恒久設置し、2025年5月より公開を開始。

富山県西部の砺波地方では、水田のなかに伝統建築「アズマダチ」や屋敷林「カイニョ」が点在する「散居村」が、500年の歳月をかけて形成されてきた。民藝運動を提唱した美術評論家 柳 宗悦は、人と自然が調和するこの土地の暮らしに感銘を受け、そこにある精神風土を「土徳」と命名。土徳のある散居村の美しい景観は、かつての日本型循環社会を今に伝える一方、社会の急激な変化により消失の危機に晒されている。

砺波平野に広がる日本最大級の散居村。

楽土庵

築120年のアズマダチ古民家を改修した楽土庵は、「土徳」を通じたリジェネラティブ ツーリズムなど、地域と深く関わるアクティビティを展開。宿泊費の一部を散居村保全団体へ寄付するなど、地域との共生を目指すさまざまな取り組みを行っている。

このほど設置された作品「返礼」は、幅3.65cmで長さ460cmの細長い水路に水を張った立体作品「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」と、散居村の水田に臨む庭で構成される。鑑賞者が水路に息を吹きかけることで、水面に波紋が伝わり、その先に広がる散居村の風景に意識を誘っていく。

Photo by Nik van der Giesen

Photo by Nik van der Giesen

Photo by Nik van der Giesen

「返礼」は、内藤が何度も砺波平野の散居村に通い、そこでさまざまなインスピレーションを得て、楽土庵のために制作された。鑑賞者が息を吹きかけることによって、目に見えない土地や自然からのはたらきかけを受け取り、それに返礼するという同作品には、内藤ならではの感覚が込められている。

作品の鑑賞は、同ホテルの宿泊客は滞在期間中に自由に鑑賞可能(一部時間帯を除く)。宿泊者以外も事前予約制・有料で鑑賞できる。季節や天候、時間によってさまざまな色や表情を映し出す小さな水路には、昆虫やカエルも集まり、私たちと土地の自然とのつながりをあらためて教えてくれるだろう。End

内藤礼「返礼」

春季・秋季
11:00~17:00(最終入場16:00)
休館
月曜日・火曜日
入場
予約制(専用サイトから要予約)
会場
楽土庵(富山県砺波市野村島645)
詳細
https://www.rakudoan.jp/rei-naito/