
プラスチック製品は私たちの暮らしの利便性を支えてきた一方、かつての「使い捨て」前提の消費構造のつけが、現在の環境負荷を押し上げている。特に、家庭内で日常的に使う生活雑貨は、破損や汚れ、飽きによって買い替えが起こりやすく、結果として資源消費と廃棄物増加に直結しやすい領域だ。だからこそ今、素材面では石油由来樹脂の使用量を減らし、循環材やバイオ材を取り入れること、体験面では消耗品ではなく愛着を持って長く使える道具へと設計を転換することが、インテリア雑貨にも求められている。
その文脈で注目したいのが、創業111年のプラスチック製品メーカー、大阪銘板が展開するサステナブル・インテリア雑貨ブランド「soem(ソエム)」である。同ブランドは「心に響くものをつくる」という思想のもと、長く大切に使われるプロダクトを志向し、ブランド名にも「装う・想う・寄りそう・微笑む」という意味を込めるとしている。そのsoemブランドの新製品が「Tissue case fold」と「Flower vase」であり、いずれも環境配慮素材と新しいUXを同時に狙ったプロダクトになっている。

soem製品に共通する独自性は、素材戦略が「見せるサステナブル」として成立している点だ。原料には、本来廃棄される米のもみ殻を含むバイオプラスチック「TEXa(テクサ)」と、自社工場で発生する廃材をリサイクルした再生ポリカーボネート「DReC PC(ダイレックPC)」を採用し、石油由来プラスチックの使用量を約40%削減したという。さらに、もみ殻の粒子を見せることで一般的なプラスチックとは異なるナチュラルな表情が生まれた。また、再生ポリカーボネート部分は透明感の美しさを生かして、環境配慮を「我慢」や「代替」ではなく、質感価値として前面に出している。

Tissue case foldは、ティッシュケースの置き場所問題を、その構造によって解いた設計。具体的には、ボックスティッシュをふたつ折りにして収めることで、箱のまま置くより省スペース化し、残量をさりげなく確認できるようにしている。本体の上部にTEXa、下部に再生ポリカーボネートを用いて、見た目は軽やかなツートーンがアクセントとなり、機能のためのギミックを装飾として違和感なく溶かし込んでいるのが特徴だ。加えて、ケースに適度な重さを持たせることで最後の1枚まで取り出しやすくしており、日々の小さなストレスを減らすための工夫が光る。

一方のFlower vaseは、花瓶にありがちな「水替えの面倒さ」をUXの中心課題として扱っている。石のように穏やかな外観と、陶器を思わせるしっとりした質感を狙い、緩やかなカーブのフォルムで花を主張しすぎずに引き立てる……という高いインテリア性を実現しつつ、TEXa製の本体+再生ポリカーボネート製のストレーナーと、同じく再生ポリカーボネート製の水カップの分離構造により、花を活け直さずに水替えができるようにした。これは「飾って終わり」ではなく「維持のしやすさ」まで含めて美しさを継続させることで、花がある生活を日常的なものにしやすくしたデザインと言えよう。

soemのTissue case foldとFlower vaseは、環境配慮素材の採用を、石油由来樹脂の削減量の話だけで終わらせず、もみ殻由来の粒感や再生材の透明感といった質感の個性として提示し、さらに省スペース化・残量確認、水替えの簡略化といった生活行動の改善に結びつけることに成功した。環境と暮らしのどちらかを優先するのではなく、「長く使いたくなる」体験設計によって結果的に廃棄を減らす。その思想が、素材・造形・機能の三層で一貫しているプロダクトだ。 ![]()












