自然由来の、サスティナブルな素材が際立つ
LIVING & DESIGN 2018 開催レポート

これからの住まいと暮らしを提唱する大阪発の国際見本市「LIVING & DESIGN」は2009年からスタートし、今年で10年目を迎えた。10月10日(水)〜12日(金)の3日間で開催された本年は「NEXT FRONTIER-新たな時代へ-」をテーマに、技術革新によってもたらされる新たな可能性に焦点を当て、さらにこの先の住まいと暮らしを提案する機会となった。アクシス編集部では開催初日の会場を取材、今年の出展の様子の一部を紹介する。

炎への回帰、「壁付けできる暖炉」(ESSE JAPAN)

会場の入り口付近で真っ先に目を引いたのは、英国の老舗ストーブメーカーESSE社が発表した壁がけ式ガスストーブ「Firewall 39”」。「炎を飾る」というコンセプトで本物の炎を絵画のように壁掛けにすることを可能にした最新鋭のガスストーブだ。煙突や配管などの工事が不要で、ガスコンセントがあれば電源も不要。フレームに採用されたブラックガラスは高温にならないため、小さな子どもやペットのいる家庭でも安心して導入することができる。

肝心の暖かさについては、木造建築で約10畳、コンクリート建築で約12畳分を1台でカバー可能。体感としては機器から少し離れていても火独特の暖かさが芯から伝わってくるようで、ひじょうに暖かく感じた。

▲薄さはわずか163mm。

暖炉と言えば、昔からリビングに置かれ、火を囲むように人々のコミュニケーションが育まれてきた歴史がある。キャンプで焚き火をしていると自然と会話が弾む経験は皆さんもあるのではないだろうか。Firewallであれば都会に暮らしながらで、玄関ホールに「ウェルカム・ファイヤー」を設置することも可能。揺らめく火が持っている癒し効果にも注目が集まっている。

地域資産、林業の未来を考える(KIRIDAS TOTSUKAWA)

奈良県南西部、紀伊半島のほぼ中央に位置する十津川村は古くから林業が盛んな地域。KIRIDAS TOTSUKAWAとTOTSUKAWA LIVINGでは十津川産のヒノキやスギを使用した家具を展示。会場で目に飛び込んできたのは、軽量で片手でも扱いやすいヒノキにラタンを座面に施した「GRID SERIES」。木材の色目も明るく、軽やか。ラタンとの境目なども美しく、細部に職人のこだわりを感じる。

KIRIDAS TOTSUKAWAは現在、「林業の6次産業化」を目指す新たな林業に取り組んでいると言う。6時産業化とは、山から木を切り出す「1次産業」、製材・加工を施し建材や家具など商品化を行う「2次産業」、それらを販売する「3次産業」までを村内ですべて行うこと。より安全で効率的な林業を推し進めるのに止まらず、都市部の消費者へのPR・販路開拓を実践することで十津川村の林業を広める活動を担っている。

家具や木工品を展示・販売しているKIRIDAS TOTSUKAWAにはカフェも併設されている。そこでは十津川産の木のぬくもりに包まれながら軽食やコーヒーを楽しむことができる。

伝統と経年の美しさがコラボレーション(ケイミュー、伊と幸)

事前の出展企業レポートでもご紹介した伊と幸さんと合同で出展されたケイミューさんのブースではセメントの質感を生かした無垢の内外壁用建築素材「SOLIDO」が展示された。

SOLIDOは焼成時にセメントの内部からでる水蒸気が由来する「白華(エフロレッセンス)」を抑えずに素材の持つ個性として捉えることで、素材本来の美しさを引き出した建築素材。出荷時すでに個体差のある素材ではあるが、外壁に用いる際には雨風・日射によってさらにその表情が変わっていくもの。自然な陰影が壁面上に生まれるこの材は、和洋問わず、上質な空間によく似合う。実際に今回の伊と幸さんとのコラボレーションで展示された「霞絹」も互いが引き立つような美しいコントラストが目を引いた。

また、製造や施工の過程で生じた廃材はリサイクル可能。SOLIDOには「typeF coffee」と「typeM」の2種類があり、typeF coffeeではコーヒー豆の廃材をセメントの表層に混ぜ込んでいる。色味にも柔らかさが出ることで、合わせるインテリアのテイストにも幅が出た。サスティナブルな素材は店舗などの商業施設のみならず、一般住宅においても今後ますます人気が高まることが予想される。

ユニークな素材を紹介する企画展「新素材 10選」

「新素材 10選」は空間造りに関わる建築家やデザイナー、美術家が、これまでの自身の作品や空間で使用してきた、印象に残るユニークな素材の使い方やそのメーカー・企業を事例とともに紹介する特別企画展。中村拓志(NAP建築設計事務所)や芦澤竜一(芦澤竜一建築設計事務所)、谷尻 誠(SUPPOSE DESIGN OFFICE)などが参加した。

▲松浦竜太郎(乃村工藝社、クリエイティブディレクター)が紹介した大光電機によるDAIKO技術研究所のエントランス壁面に設置された樹脂タイル。内蔵したLEDを制御し、動画や画像データを取り込むことでさまざまな表現が可能。

期間中、多くの講演会やカンファレンス、プレゼンテーションも行われ、トレンドから素材や伝統技術、最新の技術に至るまでさまざまな視点から今後の住空間を考察する3日間となった。10周年を迎えたLIVING & DESIGNが、来年以降、さらに注目が高まっていくであろうこれからの住空間におけるエネルギーやテクノロジーをテーマに取り込みながら続いていくことに期待が高まっている。End

「LIVING & DESIGN2018」出展企業インタビュー 着物の絹が空間を彩る【伊と幸 編】
「LIVING & DESIGN2018」出展企業インタビュー 貴重な木材を用いたキッチンに注目が集まる【嶋本木工所 編】