UNION×田根剛による「UNION | One Design - One Handle」
3万人が見たハンドルメーカーの原点とその未来とは?

2019年4月9日(火)から4月14日(日)まで開催されたミラノデザインウィークにて、ハンドルメーカーのUNIONは、建築家 田根剛を迎え、「UNION | One Design – One Handle」と題したエキシビションを開催した。

今回は、鋳造によるハンドル作りにまつわる60年分の膨大な資料の中から、60のアイテムをセレクトし展示。過去に作られたハンドル、彫刻のように手彫りされた木型、道具、砂型、素材。それらはしっかりと前を向き、照明によりひとつひとつに命が吹き込まれた。

ハンドルやレバーといえば、ドアの開閉時にそれほど意識することなく触れている日常的なもの。一方で、建築や空間と人をつなぐ一つめのコンタクトとも言える。来場者はあらためてじっくりとそれに向き合い、想像を巡らせるインスタレーションとなった。

もうひとつのスペースには、大きなU字型の作業台を構えたラボが出現。ここでは、砂型鋳造による製造プロセスの実演を日に何度も実施。砂型鋳造というプリミティブでサスティナブルな製造方法は、UNIONにとってハンドル作りの原点であり、今でも使用している技術だ。

▲photo by Takuji Shimmura

原型をセットした枠に、砂をほぐし、ふるいにかけながら詰め、型を取り出し空洞になった部分に金属を流し込む。数分するとばりなどが着いたままのハンドルがごろんと一つ生まれ出てくる。そしてまた砂をほぐし、ふるいにかけ、という作業を反復。

ものづくりの深部、未来に思考を巡らせる場になった会場には、6日間で計3万人が訪れたという。「ひとつ」の物を作ることの価値、人の手がものを生み出す強さを未来に示した会場には、それをしっかりと目に焼き付けようとする大勢の来場者の、静かなる興奮が満ちていたそうだ。End