菊竹清訓が設計した「旧都城市民会館」
文化的価値の記憶として3次元データでの保存に挑戦

建築家・菊竹清訓が設計したメタボリズムの代表作「旧都城市民会館」は、2019年夏に解体着工される予定だ。新しいデジタル技術と建築・都市の融合を企画から実装まで行うプラットフォーム「gluon(グルーオン)」が、宮崎県都城市の協力のもと、この名建築を3次元データで保存するプロジェクトをクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で立ち上げている。

この建築は、菊竹が建築も都市も自然や社会のように新陳代謝する「メタボリズム」の建築思想にもとづいて設計、1966年に竣工した。鉄筋コンクリート造の下部構造の上に、鉄骨造の屋根がかかり、梁を放射状に並べた特徴的な形状が存在感を放っている。開館から約40年間、同市の文化振興拠点として利用されてきたが、施設・設備の老朽化のため閉館・解体されることになった。

同プロジェクトでは、gluonと豊富な測量実績と新しい測量技術を切り拓く「KUMONOS(クモノス)」が互いの知識やノウハウを掛け合わせ、空間のデジタル記述で培ってきた3次元計測技術を活用。デジタルアーカイブとして文化財の新たな保存手法の構築と名建築の価値を継承していくことを目指す。

クラウドファンディングが成立した際には、実測した旧都城市民会館の3次元点群データを2019年8月を目途にウェブサイトで無償で公開し、研究への活用や新たな創作活動へ繋がる機会を創出するとしている。End