HOMO FABER——ヴェネチィアに日本の人間国宝12人の作品集結・前編

2022年春。コロナ禍からのイタリア・ヴェネツィアの復活を感じさせるようなイベントが現在開催されている。イベントのあらましを前編で、後編ではこのイベントのキューレータを務めた、デザイナー深澤直人のインタビューを紹介する。

国際民芸展「HOMO FABER EVENT(ホモ・ファーベル・イベント )」は2018年に始まった。今年2022年は2回目の開催となるが、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島にあるジョルジョ・チーニ財団の4000㎡もの広大な敷地で4月10日~5月1日まで開催中だ。

「HOMO FABER EVENT」の主催はスイス・ジュネーブに拠点を置くミケランジェロ財団。現代工芸に携わる世界の人々を支援する非営利組織である。「HOMO FABER EVENT」の目的は世界中の優れた職人たちの存在を守り、ものづくりの知恵、作品の裏にある物語や、地域性を丁寧に伝えること。今回は「工芸が導く人類の未来」がテーマとなっている。

▲ミケランジェロ財団会長Franco Cologni氏による開幕の挨拶


会場となっているサン・ジョルジョ・マジョーレ島に15の展示室が展開し、国際的に活躍するデザイナー、キューレター、建築家が監修する作品が発表された。いろいろな角度から名匠の技を見ることができる。

▲メイン展示会場の12 Stone Garden

メインの展示となったのは深澤直人、内田篤呉を共同キューレターに迎えた「12 Stone Garden」。深澤直人が伝統的な日本庭園をイメージしてデザインした12個の石の展示台の上に、日本の伝統技術を習得し、その文化的遺産を正当に受け継ぐ日本の人間国宝12名の作品を展示した。各作品の横には制作中の映像と音を流すディスプレイが掲げられている。

12もの人間国宝の作品が一堂に並ぶのは国内外問わず初めてのことであり、普段はショーケースに入れられている作品群が手に取れる距離で観覧できる。かつては食堂だった大きな壁画のある展示室に国の枠を超えた多彩なマテリアル、伝統、技巧が見事に表現された。

それでは「12 Stone Garden」の展示室を見てまわろう。

▲染織家 北村武資

▲三越の包装紙をデザインしたことでも有名な染織家 森口邦彦の作品

▲染織家 佐々木苑子

▲漆芸家 室瀬和美の作品

▲漆芸家 大西 勲

▲竹工芸家 藤沼 昇

▲鍛金 大角幸枝

▲木工芸 須田賢司

▲桐塑人形家 林 駒夫

▲陶芸家 十四代 今泉今右衛門

▲陶芸家 伊勢崎淳

▲陶芸家 福島善三

後編では、このイベントのキュレーション意図を深澤直人にインタビューした。
(写真・文/佐武辰之佑)End
後編はこちら→https://www.axismag.jp/posts/2022/05/467994.html