京都市中京区のHOSOO GALLERYで、京都・西陣織の老舗 細尾とZOZO NEXT、東京大学筧康明研究室による共同研究プロジェクトの成果を紹介する「Ambient Weaving Ⅱ」展が2024年3月17日（日）まで開催中。

「Ambient Weaving Ⅱ」展示空間

近年は、人新世（アントロポセン）における環境とテクノロジーの関係性に大きな注目が集まっている。また、情報空間が肥大化する現代においては、環境の定義はますます変化しており、自然という概念そのものの再定義も求められるようになった。

三者はこうした文脈を踏まえて、伝統工芸と先端テクノロジーを組み合わせ、機能性と美しさを兼ね備えたテキスタイルの開発を2020年にスタート。2021年には研究成果展「Ambient Weaving─環境と織物」を開催した。「Ambient Weaving」とは同プロジェクトから生まれたコンセプトであり、その中でつくられた「環境情報を表現する織物」や「環境そのものが織り込まれた織物」を指す。

今回はこれらの織物を発展させて「環境を形づくる織物」の可能性を追求。西陣織の技法的特質を活かし、先端素材を織り込んだ最新成果として、織物が重なり合うことではじめて生じる色や、特定の環境条件下においてのみ知覚できる色や光など、人と環境の間合いに存在する現象を織物で表現した作品を展開している。

また同展では、和紙糸を用いた障子のような紗の織物で囲われた茶室「織庵」とプロトタイプ作品を併置して展示。織物を用いた現代ならではの茶の湯文化を提案するとともに、多様な文化的背景と接続しながら環境や自然の再定義を試みた展覧会となっている。