NEWS | アート / ビジネス
2024.11.05 10:14
2024年11月、東京にミュージアムやギャラリー、イベントホールなどの芸術文化施設で構成されるエリア「京橋彩区(きょうばしさいく)」が、TODA BUILDINGの開業をもってグランドオープン。これに合わせて、その中心のひとつである「ミュージアムタワー京橋」は、オフィスビルにおける新たなプロジェクト「WORK with ART」を始動した。
そのねらいは、一般的には鑑賞して楽しむアート(ART)を、五感を刺激する体験と捉え、オフィスでの創造的な働き方(WORK)を促す環境を整えること。「このビルで働くと、視野が広がり、視点が変わる。そして思考が活発になる」というイメージのもと、1階のエントランスから3階のオフィスロビーへと通じる共用部を緻密に設計し、エリアごとにテーマを設定した。ビル自体を組織やビジネスパーソンの創造性を高めるものへと変え、未来のオフィスビルのあり方を提案する。
1階エントランスロビーでは、「視野の解放」をテーマに、アートコレクティブ ダムタイプ(Dumb Type)の作品「WINDOWS」をパブリックアートとして展示する。世界中で公開されている「ライブカメラ」の映像を収集し、毎日更新されるこれらを1枚の窓に見立てて組み合わせた作品。観る人は屋内にいながらにして、外のさまざまな世界とつながる感覚を得られる。
1階〜3階エスカレーターでは、「気分の変容」というテーマのもと、エンジニア集団 nomenaの監修による音楽作品を展開。エスカレーターに乗っている時間を音楽体験のタイムラインと考え、機械の動作音を楽曲の一要素として取り込み、無機質な機械音を叙情的に表現した。作曲・演出は、空間の音響演出を得意とする作曲家 高橋琢哉が担当。行き交う人の感覚をささやかに刺激し、プライベートとワークのスムーズな切り替えを提供する。
3階オフィスロビーのテーマは「心身の整調」。空間設計は、インテリアデザインオフィス「I IN(アイイン)」の湯山皓が担当した。武蔵野の森をイメージした植栽を中央に置き、その周りに待合いスペース、ワークスペース、ミーティングスペースからなるエリアを設けた。また、ミュージアムタワー京橋の外観に使用されているルーバーに注目し、これをタワーのアイデンティティととらえた。このルーパーを型取り、多治見の美濃焼で再現。室内のパーテーションへと転用した。nomena監修、高橋琢哉作曲の環境音は、季節や天候と連動し、室内空間であっても、外の環境を感じさせる。
五感を刺激するアート作品や心地よい環境音で満たされた美しい空間は、忙しいオフィスワーカーに安らぎとインスピレーションを与えるだろう。