「東京ビジネスデザインアワード」は東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会が企画・運営をおこなう新規用途開発とビジネス全体のデザイン提案を募るコンペティション。東京都内の中小企業の持つ技術や素材等がテーマとなっている。

今年も都内の企業からテーマ募集をおこない、テーマ全9件を発表。8月16日（木）よりデザイナーからの提案応募の受付を開始している。募集期間は10月25日（木）まで。テーマには、「伝統的な染め技法“東京本染（注染）”による『両面染色技術』」、「金属の表面にデザインを付加する『彫刻・エッチング技術』」、「ワックス（ロウ）のブレンドにこだわった『キャンドル製造技術』」など、都内中小企業の創意あふれる技術・素材が並ぶ。

▲「伝統的な染め技法“東京本染（注染）”による『両面染色技術』」（上）、「金属の表面にデザインを付加する『彫刻・エッチング技術』」（下）

▲「ワックス（ロウ）のブレンドにこだわった『キャンドル製造技術』」

東京ビジネスデザインアワードは2012年に開始し今年で7回目を迎える。これまでにマッチングした企業デザイナーによる提案実現化事例も増え、販売商品が国内市場はもとより海外でも好評価を受けているアワードだ。

中小企業の持つ「高い技術」や「特殊な素材」をコンペティションの「テーマ」として募集し、それらの新規用途開発を軸としたビジネス全体の「提案」とのマッチングが成功した事例には、デザイナー、工学博士、弁理士、マーケティング専門家等により構成された審査委員、事務局によるアドバイス(商品開発、 知財戦略、デザイン契約、販路開拓)を通じ、事業化・商品化・販路拡大へと結びつけるなど、着々と実績を重ねている。

2017年度、最優秀賞に輝いたのは榊原美歩（GoodTheWhat） ☓ 株式会社扶桑による「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」だ。このシートはアイロンを使わない転写シールの技術を応用したもので、さまざまな絵柄を組み合わせて生地を自由にカスタマイズ可能。利用シーンの想定だけでなく、ワークショップでユーザーの反応を見たり、販売の仕方までシミュレーションするなど、実現性の高いビジネス提案になっている点が高く評価された（最終審査についての詳しいレポートはこちら）。

▲最優秀賞「ユーザーが生地をカスタマイズできるパターンシート」
榊原美歩（GoodTheWhat） ☓ 株式会社扶桑

▲榊原美歩（GoodTheWhat）さんによる最終審査会でのプレゼンテーションの様子。

なお、2018年度審査委員は以下の通り。廣田尚子氏（プロダクトデザイナー／有限会社ヒロタデザインスタジオ代表）、金谷 勉氏（クリエイティブディレクター／有限会社セメントプロデュースデザイン代表）、川田誠一氏（工学博士、産業技術大学院大学学長）、澤田且成氏（ブランディングディレクター／アイディーテンジャパン株式会社代表）、日髙一樹氏（デザイン・知的財産権戦略コンサルタント／日髙国際特許事務所所長・弁理士）、南馬越 一義氏（クリエイティブディレクター／株式会社ビームス ビームス創造研究所シニアクリエイティブディレクター）。

Webマガジン「AXIS」では東京ビジネスデザインアワードで商品化を実現させたマッチング例を取材し、記事として掲載している。応募を検討しているデザイナーのみなさんにはそちらもぜひ読んでいただきたい。

○ウキマ × hitoe「多機能シール halt＋（ハルト）」
○コスモテック × kenma「WEMO（ウェモ）」
○八欧産業 × 電通「RE:LIGHT（リライト）」
○廣田硝子 × 玉置潤平「乳白ガラスのペンダントライト」
○カドミ光学工業 × クラウドデザイン「FROM NOWHERE」